焦点:荒れ相場に身構える投資家、イラクと原油価格を注視

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ガソリンスタンド

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ロイター

 イラク情勢が緊迫の度を強め、市場はボラティリティの一段の高まりを予想している。最近の原油価格上昇を受け、米国株式市場の力強い上昇に、歯止めがかかるリスクが浮上しているからだ。

 投資家は、イラク北部で支配地域を広げているイスラム教スンニ派過激派組織「イラク・レバント・イスラム国(ISIL)」が、南部にも侵攻し、石油生産に支障が出る事態を懸念。

 今週は実際、戦闘激化を受けてイラク最大の製油施設が操業停止に追い込まれた。

 S&P総合500種指数.SPXは先週、2カ月ぶりの大幅な下落を見せ、ブレント原油先物LCOc1は昨年7月以来の急上昇となった。

 USAAインベストメンツ(サンアントニオ)の株式責任者であるジョン・トーヒー氏は「エネルギー価格の上昇は問題。需要増によるものではなく、供給懸念が理由だからだ」と指摘。「エネルギー価格高は、経済活動のギアに挟まる砂のようなもの」との見方を示している。

 イラクでの戦闘が長期化した場合には、株式市場のボラティリティが一段と高まることが予想され、なかでも全体のコストに占める燃料費の比率が高い運輸、海運、航空株に及ぶ影響は大きいとみられている。

 バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのアナリストらは、ブレント原油先物が2011年と2012年につけた高値付近の1バレル=125ドルをつけるかどうか注目している、としている。一方、2008年半ばの150ドル近くに上昇する可能性を指摘する声もあるようだ。

 <消費に影響>

 米国では先週、ガソリンの卸売価格RBc1が4%上昇、7月以来の高値に迫った。上昇が続けば消費支出にも影響すると懸念されている。

 カンバーランド・アドバイザーズの最高投資責任者(CIO)、デービッド・コトック氏は「消費の回復が遅いことを示す証拠は既にある」と指摘。そのうえで、ガソリン価格がガロンあたり1ドル上昇すると、中・低所得層から約1500億ドルの購買力が失われると述べた。

 市場も反応している。

 S&P500の消費財指数.SPLRCDは先週1.7%下落、小売指数.SPXRTは2.3%下落し、両指数とも4月以来の大幅な下落となった。消費・小売りの代表格ウォルマート(WMT.N)は先週2.5%下落し、ダラー・ツリー(DLTR.O)は2.2%下落した。

 <恐怖指数、再び上昇の兆し>

 投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティ・インデックス(VIX指数)は最近まで、2007年以来の低水準をつけていたが、先週は13.5%上昇した。

 先週末終盤の水準は12.2で、過去の平均水準の20は依然として大幅に下回っており、過去1年間の平均である14.3よりも低い。

 ブラックロックのグローバルチーフ投資ストラテジスト、ラス・ケステリッチ氏は「VIX指数は向こう数週間、数カ月間は、原油価格と密接に連動するだろう。原油価格が上昇し続ければ、VIX指数もより、はっきりした上昇を見せるのではないか」との見方を示している。