香港で抗議激化: 中国は香港の青年を切り捨てるのか

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反対派学生グループのリーダー

香港の集会で話かけるジョシュア・ウォン(Joshua Wong)さん(17歳)は、抗議活動を行う学生グループ「学民思潮(Scholarism)」のリーダーである。2014年9月26日に撮影。

写真: ロイター

香港の集会で話かけるジョシュア・ウォン(Joshua
香港の集会で話かけるジョシュア・ウォン(Joshua Wong)さん(17歳)は、抗議活動を行う学生グループ「学民思潮(Scholarism)」のリーダーである。2014年9月26日に撮影。写真: ロイター

 香港で9月30日、2017年の行政長官選挙制度の中国の干渉に対して、抗議活動が激化した。活動は、香港の中心地区を占拠せよと主張しながら拡大している。抗議活動者には幅広い世代が含まれているが、今回の抗議活動は、当初は若者世代が中心であった。彼らは、1997年に英国が香港を返還した際の状況を体験していないこともあり、中国社会に次第に疎外感を抱いている。

 「香港は香港、中国は中国だ」と香港島北岸のコーズウェイベイ(銅鑼湾)付近で抗議活動を行っている広報マネージャーのアシュリー・アウ(Ashley Au)さん(31歳)は述べた。「政府にはさらに要求を突きつけたい」と彼女は電話で語った。

 2017年の香港行政長官選挙について、中国の全国人民代表大会(全人代; 国会にあたる)常務委員会が決定した「普通選挙方針」を撤回するよう、民主派学生らが求めている。

 香港の抗議者は先月決定された「普通選挙方針」に反対を表明している。この法律は、2017年の香港の行政長官選挙の候補者の適格性が、中国政府によって審査されるという制限を付けている。しかし現在の抗議の根は深い。1997年、香港が中国の統治下に復帰したときに、中国共産党は香港の政治、経済、法制度には手をつけないで50年間そのままに残すと約束した。中国政府はこれを「一国二制度」と呼んでいる。しかしその後17年間、中国政府の香港への内政干渉は断続的に発生してきた。最近では2012年に、香港の小学校で中国国民としての愛国心を育成する「愛国主義」教育を導入する計画に抗議する大規模なデモが、香港の学生活動家らによって行われた。当時の香港行政長官のドナルド・ツァン(Donald Tsang、曽 蔭権: そう いんけん)氏は、反対運動が沸き起こる中で、この方針に同意を示した。

 愛国教育への抗議の成果は、現在17歳のウォンさんが率いる抗議グループ「学民思潮(Scholarism)」が中心的な役割を果してきた。「セントラルを占拠をせよ(Occupy Central)」と称する市民による民主化運動は、今年の夏に行政長官の普通選挙を求めて大規模な抗議活動を組織した。最初は、中国の建国記念日であり連休となる10月1日まで、新しい選挙法に抗議するために待機することを計画していた。しかし「学民思潮」などの学生らによる抗議活動が先週、初めての抗議活動を行ったのにつれて、「セントラルを占拠をせよ」もこれらのグループと結びついた。

 「彼らは平均的な学生である。特に積極的な活動家というわけではない」と長年にわたり香港に暮らして抗議活動に参加してきたトレイ・メネフィー(Trey Menefee)香港大学元教授は述べている。「年代によって隔たりがある」と加えた。

 香港大学が9月に行った調査によると、18歳から29歳の回答者のうち75%が中国政府に不信を表明する一方で、85%は中国の「一国二制度」を信用していなかった。これに対し50歳以上の回答者では、これらの数字は、それぞれ、41%と42%であった。

 香港の若い世代が感じている中国政府の無力感は、小さな地域を越えて影響を広げる可能性がある。28日、台湾の馬英九(Ma Yingjeo)総統は、香港の状況について「憂慮している」とし、馬総統所属の党は中国大陸寄りとされるにもかかわらず、「一国二制度」の考え方は台湾人が受け入れるところではないと中東のニュースチャンネルであるアルジャジーラに語った。中国共産党の習近平総書記(国家主席)が26日、台湾問題について「一国二制度」による統一が「もっともよい方法」と述べたことで、台湾では反発が発生した。

 香港では、抗議のデモ隊が人民共和国の旗を逆さまにして反抗的態度を示していた。若者たちは、世界の地政学と経済を変えた中国の圧政に組みするのは同意できないことを示している。

 「これは、第一世代が中国の公用語の北京官話(北京語)を学ぶときにも言えることで、彼らは中国本土の文化と政治に大きな抵抗を感じている。それが最良かつ最大の抵抗であることを彼らは知っている」とメネフィーさんは述べた。

 アウさんのようなデモ参加者にとって、アイデンティティはさらに厳しい問題である。「私たちは中国の一部であるとは思っていない。中国人だと感じることはない」と彼女は語った。

 *この記事は、米国版 International Business Timesの記事を日本向けに抄訳したものです。