エボラ出血熱と経済活動:懸念される食糧危機

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リベリア共和国の首都モンロビアで世界食糧計画の求人の張り紙を見る人々

なお感染の広がりを見せるエボラ出血熱は、多数の犠牲者を出したのみならず、経済にも深刻な影響をもたらしている

ロイター/James Giahyue

エボラ出血熱の大流行は西アフリカに食糧危機を引き起こしている。すでに4,000人以上の死者を出したエボラ熱は、現地では食糧不足と価格の高騰という新たな課題の種となっている。

シエラレオネやリベリア、ギニアといったもともと貧困率の高い国々では、こうした問題は流行が終わってからも長く貿易に影響を及ぼす可能性があると、経済学者らは指摘する。

「食料品価格は需給のバランスで決まります。人やモノの移動の制限にともない、農産品の供給は低下し、価格が高騰しています」と言うのはブルッキングス研究所のアフリカ経済学者、アマドウ・シー(Amadou Sy)氏だ。

エボラ熱の流行が始まる前までは、シエラレオネはここ10年、経済成長を続けてきており、国民の半数以上が貧困線以下ながら、昨年には一人当たりの年間収入が680ドルに達した。しかし、何とか対応しようと奮闘している医療制度は未整備で、一連の隔離措置も対応の遅れを引き起こしており、現在ではエボラ熱がほぼ国中に広がっている状態だ。

エボラ熱が最初に確認されたカイラフン、ケネマという2つの地区は、人口の5分の1が居住する地域で、農業の生産高ももっとも多く、国内のコメの18%を生産しているが、現在ではこの地域が食糧の安全保障の点でもっとも大きな打撃を受けている。国連食糧農業機関(FAO)は9月、この地方の主要地域の90%の土地が耕作されていないと報告した。

「このことは、これまでの犠牲者数に不釣り合いなほどの影響を経済活動に与え始めている。経済活動は非常な嫌悪感の影響を受けており、それが経済の失速につながっていると思われる」と世界銀行は最近の報告書で指摘している。

また、リベリアはエボラ熱の流行以前でさえ、3か国のなかで410ドルと最も一人当たり年収が低かった。流行がなければ比較的順調に推移すると見られていた同国経済だが、もっとも深刻な影響を受けている。

国の主たる農業地帯のある北西部も、流行状況がもっとも深刻な地域に含まれている。

「農業生産が継続されている場合でも、流行が始まった時点での疎開や隔離による労働力不足により、収穫にも新たな作物の作付けにも影響が出ている」と世界銀行の報告書は指摘している。

比較的、ということではあるが、流行が深刻な国々のうち、ギニアが一番うまく行っているように見える。ギニアはエボラ・ウイルスの感染が発生した国でもあるが、医療関係者が国際機関と連携して素早く対応し、拡散を最小限に食い止めた。

しかし、エボラ熱の流行は市場、特に商品市場に大きな影響をもたらしている。コーヒー生産は半分、ココアは3分の1、ヤシ油は75%に落ちこんでいる。外国企業は従業員を引き上げ、航空会社は運行を削減しており、このためサービス部門にも影響が出ている。

「暫定評価は、心配な状況を示しています」と国連食糧農業機関の報道官はInternational Business Timesの取材に答えて述べ、現地の市場では、食料品価格が約50%も上昇しているところがあると指摘した。

FAOは現在、携帯電話使用者を対象に、「食の安全保障のホットスポット」を探し出そうと調査を続けており、収穫シーズンの動向を見守っている。

そして、将来的に問題が予測されるのはこの3か国のみではないのだ。

*この記事は、米国版International Business Timesの記事を日本向けに抄訳したものです。