米ハーバード大学、学生を無断撮影でプライバシーに懸念

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ハーバード大学

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ロイター

 ハーバード大学では、同大学の副学長が、10クラスで2,000人の写真をこっそり撮影していたことの是非が問われていた。この撮影は、学生の出席状況を知ることを目的としたものであった。数日前に学部会議で撮影のことが明らかにされて以来、議論が巻き起こっている。プライバシーの問題は世界中どこでもデリケートな問題だ。その問題が今、大学を巻き込んでいる。

 「教育の権利とプライバシーに関する法(the Federal Educational Rights and Privacy Act)」は、同意なしに学生の成績が公開されることから保護する法律である。しかし、学校は、学生のその他のデータを継続的に収集している。例えば、ブラックボードのような学習管理システムは、学生が講義資料をみている長さを記録する。

 ノーザン・アリゾナ大学のように、学生証に高周波識別チップを埋め込んでいるところもある。カードが読み取り機に通されたときを記録するためである。マサチューセッツ大学ダートマス校は、その方法によって、ボストンマラソン爆弾テロ事件のツァルナエフ容疑者がボストンマラロンのあとにジムを訪問していたのを知った。

 フロリダ国際大学のジョイ・ブランチャード(Joy Blanchard)助教授は、IBTimesに「みな不安がっています。なぜなら、彼らは『大学は自分が知らないうちに、勝手に他にも何かデータを集めているのではないか?』と疑っているからです」と述べた。

 議論は、学生たちがどの程度まで大学内のプライバシーを意識するかにまで発展している。ルイビル大学のジェフリー・サン(Jeffrey Sun)教授は、寮で起こっていることはおおむね機密かもしれないが、教室に入ったらプライベートではないと考えるべきだと指摘する。同教授は、IBTimesに、「この頃、スナップチャット(Snapchat)などで撮影された写真が公開されていることがあります。多くの学生は写真を撮影していたり、場合によっては他の人々を記録していたりします」と述べた。

 大学のウェブサイトを通して、画像の同意方針を概説しているところもある。ワシントンにあるウェストミンスター大学は、学生がゲーム大会やコンサートなどのイベントに出席した場合、写真を撮影されると述べている。同サイトは「ウェストミンスター大学は、大学を宣伝するために、印刷したり、他の電子媒体を利用する権利を持つ」と述べている。シアトル大学のウェブサイトによれば、教室のプライバシーはないので知らせることは要件ではない。

 ハーバード大学の調査は内部利用を目的としていた。講義をサボったり、宿題をやらなかったり、ノートを取らなかったりする学生を知るためであった。同調査の指揮をとっていたハーバード大学のピーター・ボル(Peter K. Bol)副学長は、写真撮影により学生の出席率を知りたかった。しかし、副学長はその講座の教授や学生に事前に通知をしなかった。副学長は、「データにバイアスがかかるのを避けたかったのです。学生が出席しているという確かな証拠がほしかったです。それと同時に、データの傾向を解析すれば、出席率をあげるために何かできるかもしれないと考えました」と声明で説明した。

 プロジェクトの開始前、大学の調査機関はボル副学長の調査に同意した。人権に関わる調査ではないと考え、学生の許可は必要ないと考えた。副学長は、教室にカメラを設置し、学生の写真を撮影し、各講座の学生の数を計算した。それから各コースの管理者に通知し、研究から除外される選択肢を提供した。彼らのすべてはデータの利用に同意した。副学長は「学部はみな講義や学生のことを気にしています」と述べた。

 しかし、コンピュータサイエンスを研究するハリー・ルイス(Harry Lewis)教授は、学部会議で、「しかし、それではOKにならなかった。なぜなら、テクノロジーは当初の使用目的以外にも転用することが可能だからです。そして、もし学生に知らせることなく、彼らを電子的に見ていたのであれば、そのことを後で通知するべきでした」と述べた。ボル氏は、ハーバード大学のレポートで、学生たちに写真を撮ったことを通知するつもりだったと述べた。

 フロリダ国際大学のブランチャード助教授とルイビル大学のサン教授は、学生や教師に事前に通知されるべきだったと考えている。ブランチャード助教授は、「確かに違法ではなかったかもしれません。しかし、非倫理的です」と述べた。

 *この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。