ISISのアブー・バクル・アル=バグダーディー氏が死亡か 次のカリフは誰?

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    過激派組織イスラム国(ISIS)の孤独なリーダーと称されるアブー・バクル=アル・バグダーディー氏の初めての画像が、2014年7月5日にインターネット上に掲載された。イラク第二の都市、モスルの中心部にあるモスクで同氏をビデオ録画されたものであった。この静止画像はビデオから抜粋された。

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    ISISリーダーのアブー・バクル・アル=バグダーディー氏

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    イスラム国(ISIS)の指導者アブー・バクル・アル=バグダーディー氏が、米国主導の連合軍による空爆で負傷したと報道されたが確認はとれていない。バグダーディー氏はカリフを宣言し、今夏、イラクのモスクで初めて公の場に姿を現した。

    ロイター/ロイターテレビ経由でソーシャルメディアのウェブサイ
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過激派組織イスラム国(ISIS)の孤独なリーダーと称されるアブー・バクル=アル・バグダーディー氏の初めての画像が、2014年7月5日にインターネット上に掲載された。イラク第二の都市、モスルの中心部にあるモスクで同氏をビデオ録画されたものであった。この静止画像はビデオから抜粋された。写真: ロイター

 11月8日、イラクで、イスラム過激派組織「イスラム国(ISIS)」の指導者のアブー・バクル・アル=バグダーディー(Abu Bakr al-Baghdadi)氏が、米軍とその有志国による空爆(生来の決意作戦)により負傷または死亡したと報道されたが、事実確認はとれていない。

 アブー・バクル・アル=バグダーディー氏が米軍による空爆で死亡した場合、その損失から「イスラム国(ISIS)」は立ち直り、バグダーディー氏なしで活動を継続できるのだろうかという疑問がある。

 アブー・バクル・アル=バグダーディー氏は「イスラム国」のカリフ(預言者ムハンマドの後継者)である。1971年、イラク生まれとされ、2013年7月にインターネット上で回覧された聖戦主義者フォーラムの記述によると、バグダッドのイラク大学でイスラム学の学士・修士・博士号を取得したとされる。2010年にイラク・イスラム国のアミール(指導者)のアブー・ウマル・アル=バグダーディー氏(日本の公安調査庁のホームページではAbu Bakr al-Baghdadi al-Husseini al-Quraishiと表記)が殺害され、その後任としてアミールに就任した。2014年6月、内戦状態のシリアと、その隣国のイラクで活動するイスラム教スンニ派武装勢力「イラク・レバントのイスラム国(Islamic State of Iraq and the Levant、ISIL、後に組織名をISIS(the islamic state in Iraq and al-Sham)に変更)はインターネット上の録音声明の中でバグダーディー氏がカリフであり、イスラム国家であるカリフ統治領をシリア・イラク両国のISIS制圧地域に樹立するとして「イスラム国の建国」を宣言した。

 バグダーディー氏の死が事実だとすると、過激派組織の士気に重大な影響を与えるだろう。しかし新しいリーダーが任命されるため「指揮に乱れはない」と専門家は指摘する。後継者はおそらく高度に組織化された過激派組織のリーダーの中の誰かになるだろう。そしてISISによる地上作戦は滞りなく継続されるだろう。

 「ISISは、おそらくバグダーディー氏の後任者を準備しているだろう。ISISは、組織が活動を進める中で新たな事態に直面し、その構造を変化させるだろう」と紛争研究機関の「インスティチュート・フォワ・ザ・スタディ・オブ・ワー」のローレン・スクワイアーズ(Lauren Squires)氏は述べた。「過激派組織は将来を見据えて考慮している。後継者の準備が、一部の論理主義によるものだというのは近視眼的である。そこにはイデオロギーによる意図もある」と加えた。

 ISISは今年半ばにカリフによる統治を宣言した後、バグダーディー氏による政治構造を確立した。決定力を持つ者たちはバグダーディー氏とつながる諮問評議会(シューラ評議会: Shura Council、またはSharia Council)により運営される。シューラ評議会はバグダーディー氏の2人の代理人(1人はイラクを担当し、もう1人はシリアを担当する)と、7人から9人の様々な職務を担う者によって構成される。

 「シューラ評議会はISISの最高諮問機関であり、理論上、バグダーディー氏の指示を承認しなければならない。たとえ誰をバグダーディー氏の後任としてカリフにするのかという選択においてでもである」と軍事グループ「ソファン・グループ(Souffan Group)」によるレポートは報じた。

 ■バグダーディー氏の後継者

 「シューラ評議会は、バグダーディー氏の後継者として資格を満たす者として広く合意を得られる者の中からコンセンサスを得ることになる。つまり、全条件を正当に満たしていると見なされる誰かになる」とスクワイアーズ氏は述べた。「宗教知識や経歴は偽ることも可能だが、未知の将来を有する候補者が必要である」と付け加えた。

 優れたカリフは、盛りだくさんの内容、そして、秘密の過去を持っている必要がある。シューラ評議会は、独自の理想的な候補を選択する。候補者は男性に限るのだが、軍事戦術と財政に深い知識を必要とする。明らかなことは、彼は現在のISISのメンバーの指導者であるということだ。また、その信奉者が彼によるイスラム法の解釈に十分に従うことができるように、イスラム教に精通している必要がある。

 「バグダーディー氏が死亡した場合、ISISのアミールとしてバグダーディー氏の役割を果せる可能性が高い人物が何人かいる。アブ・アイマン・アル・イラク(Abu Ayman al-Iraqi)氏は、伝えられるところによると、ISISの軍事評議会の高位指揮官であるが、最近、同位の他の指揮官が殺害されたため、同氏が後任者リストのトップになったと報じられた」とスクワイアーズ氏はISISの軍事指揮官について語った。

 次の軍事指揮官としてオマル・アル・シシャニ(Omar al-Shishani)氏も伝えられている。赤毛のチェチェン人の戦闘員で外国人戦闘員における一種の広告塔である。同氏の戦闘技術は比類がないと伝えられているが、正式な宗教教育を受けた経歴がないため、専門家は同氏がカリフ候補になることはないとしている。

 シューラ評議会におけるバグダーディー氏の2人の代理人のアブ・アリ・アル・アンバリ(Abu Ali al-Anbari)氏(シリア担当副官)とアブ・ムスリム・アル・タクマニ(Abu Muslim al-Turkmani)氏(イラク担当副官)は、ISISの軍事指揮官のアブ・スレイマン(Abu Suleiman)氏とともにカリフの最終候補リストに入ると予測される。

 ■カリフに必要なこと

 アブ・スレイマン氏は、軍事条件に合っているが、優れたカリフは大衆に強い影響を与えて国際的な認知も獲得しなければならず、その一方でミステリアスな雰囲気を持ち続けなければならないと言う。4年という短い期間でバグダーディー氏は力をつけ、イラクとシリアの広範囲に及ぶ地域を制圧した。ISISを統率するオーラはとても強い。外国からバグダーディー氏のために戦いたいという戦闘員が多数集まっている。過激派グループは、すべての領域において忠誠を誓っている。バグダーディー氏が公けの場に姿を現したのは、ほんのわずかな回数だったにも関わらず、彼はISISを世界で最も恐れられるテロ組織の一つへと導いた。

 バグダーディー氏は次の後継者に直ちに置き換えられるだろう。しかし一部の専門家は、現在のISISのリーダー達の中で、実際にバグダーディー氏の代わりになれる者は、ほんのわずかだと述べている。

 「ISIS内でのバグダーディ氏のパーソナリティは、非常にユニークなものである。バグダーディ氏から受け継いだことと共に活動できる者はいない。一般人はバグダーディ氏の権威の証(あかし)となるものを知らないし、組織内の高位の指揮官の中にバグダーディ氏と同じようなパーソナリティの者はいない」とイスラエルのハジリヤ(Hertzliya)大学のアイメン・ジャワド・アル・タミミ(Aymenn Jawad al-Tamimi)教授は語った。

 *この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。