2010年8月17日 13時17分 更新

日本経済成長率弱まり受け、米国の対中懸念高まる

コラム 最新ニュース


 16日内閣府が発表した4-6月期国内総生産(GDP)速報値は0.4%増となり、民間予想平均2.3%増を大きく下回った。1-3月期のGDP改正値の4.4%増に比べると急減を示した。ドルに換算した名目GDPは中国を下回った。通年では中国GDPが日本を上回ることが予想されている。

上海建設現場で働く中国人労働者の様子。2010年7月5日。

 米国内アナリストらの間では、中国がアジアの経済大国として日本を凌いで成長することは大きな懸念につながる。米国と同盟国の関係にあり、核を保有しない日本に対し、核保有国の中国は米国への好意的な協力姿勢をあえて示そうとしない。

 日本が1980年代に高度経済成長を遂げた際は、米国の国益を考慮して1985年のプラザ合意を受け大量の円買いドル売りを実行した。一方で中国人民元に関しては、米政府による通貨切り上げ要求はかたくなに拒否され続けている。また日本でバブルが崩壊して「失われた10年」が生じたのと同様に中国でのバブル崩壊も懸念が高まっている。特に中国は毛沢東の共産主義政策から1976年の鄧小平による「社会主義近代化建設への移行」の改革開放路線が実行され急速に政府主導の経済改革が強行されてきた。

中国経済について、米アナリストらの間では金融改革において多くの問題が指摘されている。銀行システムの健全性やインフレスパイラルへの対処などの面で問題が多いという。「How China Grows」著者のジェームズ・リーデル氏、ジン・ジン氏およびジアン・ガオ氏は「中国の急速な政府主導の強硬な経済発展の結果として金融システムに大きな禍根が生じた。金融システムの発展は将来的な持続可能な経済発展に不可欠だ。金融セクターの発展が不十分であるのは、長期的な中国経済成長を妨げるだけではなく、短期的な経済不安定を招き、マクロ経済政策を効果的に打ち出すことにも害をもたらす」と述べている。

また中国企業のブランド力についても懸念が残っている。中国企業のイノベーション・テクノロジー指導力が日本企業を上回るとは現段階ではあまり考えられない。経営危機に陥った欧米諸国のブランドを買収するなどしてブランド力強化に努めているものの、1980年代の日本が高度経済成長で独自に培ってきたブランド力を超えることは難しいとみられる。

中国製品が米市場をにぎわせてはいるものの、中国経済の発展に伴い、中国人労働者のこれ以上の低賃金労働は期待できない。さらに頑なに固定し続けている中国人民元レートも中国経済の持続的発展のリスク要因となっている。米中貿易問題、台湾領土問題、チベットの民族独立運動など中国国内には政情不安も大きい。また中国政府の保有している巨額の米国債もリスク要因となっている。

中国国内ビジネス環境についても、海外企業にとっては二の足を踏む状態となっている。グーグル検索エンジンに関しては中国政府との衝突が生じており、外資系企業が中国国内で新規にビジネスを始めるには大きな障壁がある。

また国内環境にしても、労働賃金が上昇するにつれこれまでのような安価な製品を海外に輸出することでの経済成長は望めなくなる。中国工場では労働者の自殺事件なども生じており、今後さらなる賃上げ運動が激化していくことが懸念されている。今後中国が経済大国となるには、対外諸国からの信頼を得るため大きな変革を行っていかなければならず、課題は山積みとなっている。

ロイター
上海建設現場で働く中国人労働者の様子。2010年7月5日。


IBTimes

この記事につぶやく

twinavi

Share

コメントする

メルマガ登録
メルマガ登録