2010年9月3日 14時30分 更新
ロバート・プレクター氏に聞く金融市場で働く「群衆心理」 -IBTimes独占インタビュー (2)
Q ギリシャ国債問題はどれだけ群衆心理を動かす引き金になりましたか?
ロバート・プレクター氏 群衆心理そのものです。それ以外の要因でなぜ銀行や保険会社、年金ファンドマネジャーがギリシャ国債やサブプライム・モーゲージを購入したでしょうか?これらの債権者は常軌を逸した行動に出ていました。昏睡状態に陥っていたといえるでしょう。悲しいことに米政府も多くの不良債権を強化させることで、そもそもはギャンブル好きのトレーダーが負うべきリスクを罪なき納税者に負わせてしまっています。しかしこのような仕掛けもやがては失敗するでしょう。
Q 債券自警団(*2)による債券売りの影響はどの程度出ていますか?
ロバート・プレクター氏 「債券自警団」とは人々がある不可能性を認識できるときに生じるものです。増えるばかりの歳出・債権者からの借入に終わりが見られないようなときに生じます。これらの動きが分からない人たちは債券自警団に注意を払いません。危機の本当の原因は突発的な債券発行や債権者による発行済み債券の購入にあります。後からこれら債券のリスクを察知した人々にあるのではありません。
私が2002年に「Conquer the Crash(危機に打ち勝つ)」を書いた際は、ファニーメイを含めた全ての不良債権が暴落することを予測していました。当時ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫:米政府系住宅金融機関)は機関投資家が好んで買っていた債券でした。
その後同書で述べた多くのシナリオが現実のものとなっていきました。さらにこれから生じることもあります。またほとんどの人たちはこれら不良債権を持ち続けることに大きなリスクを感じずにいることにも驚いています。州政府発行債、市債が破たんしても、投資家はそれら債券を1999年のITバブル前のテクノロジー株、2005年の不動産株、2007年のダウ、2008年の原油先物を購入するのと同じように購入しています。
債券自警団についても、今は眠っていたとしても最終的には市債を売却することで行動を起こすようになるでしょうが、まだそのような兆候は見られていません。
Q ギリシャ国債危機に対する市場の反応は、米GDPの13%超ともなる米財政赤字と同様に、客観的な要素に基づいた正当化されるべき行動ではないということですか?
ロバート・プレクター氏 私の社会経済学的論理によれば、ギリシャ国債危機を誘発したのは、ギリシャ政府が無能であったからではなかったと思います。市場に行き渡るギリシャ国債に対する悲観が危機をもたらしたのだと思います。
考えてもみてください。もし市場に対する楽観的な見方が無限に広まれば、債権者はギリシャの不良債権買いを止めることはないでしょう。結果ギリシャ政府は無限に国債を発行することができるようになります。しかし2008年に社会の心理が傾いてきて、最終的にそれがさまざまな危機を誘発するようになったのです。
このような場合、ギリシャ国債危機を予測できる人はほんの一部の人しかいないでしょう。債券売りの動きが見え始めて、危機レベルが増大するまでは誰も気づくことができません。社会心理の変化がすべてのマーケットで起こる事象を統制しているといえるでしょう。
*2債券自警団 インフレを誘発する金融財政政策に抗議するために集団で債券売りを行う投資家たちのこと。ギリシャ危機以降債券自警団の動きが警戒されている。
(インタビュアー 米IBTimes Hao Li)
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