行政の仕事の「ガラガラポン」を目指す「事業仕分け」



26 November 2009 @ 06:44 am JST

出典:SBI大学院大学(https://www.sbi-u.ac.jp/)「ビジネス・レポート第十二号 野間修教授」より

このところ、連日マスコミによって報道され大きな注目を集めている「事業仕分け」とは、行政の手掛ける事業について、担当職員や第3者(市民や外部の識者など)が公開の場で議論することにより、その事業が必要か不要か、縮減が可能か、などを判定する作業のことである。

この事業仕分けは、行財政改革の手法として、民間のシンクタンクである「構想日本」(加藤秀樹代表)によって2002年に考案されたものであり、地方レベルでは、本年10月までに40強の自治体にて実施済みである。

このような行財政上の構造改革は、それまでのケインズ的な政策運営に陰りが見えて、古典派経済に基づく市場重視型の政策運営への回帰が起きた1980年代の英国にさかのぼる。

当時、サッチャー政権下の英国では、PPP(Public Private Partnership)の理念が提唱され始めた。

PPPとは、官の仕事は官のみが担うとの思い込みから脱却し、官と民の間にア・プリオリ(先天的)な垣根を設けず、行政と民間が多様な形で連携して公共サービスを提供しようとする理念である。

PPPの主な手法は言うまでもなく民営化であり、その狙いは官業に民間の経営手法を取り入れて効率化させるとともに、 民間部門に「行政サービス供給業」を開放して税収増にも寄与させることであった。

わが国におけるPPPの導入には、予算の単年度主義など既存制度のいくつかの壁があったが、主に小泉政権の下で、既に以下の3つの行財政改革が法制度化済みである。

そこで、以下の3つをわが国におけるPPPの「3点セット」と呼ぶこともできよう。

1. 「PFI」(Private Financial Initiative)--- 従来、公共の領域とされてきた公共施設の建設・整備に、民間企業が公共部門のパートナーとして主体的に参加する仕組み。1999年7月に成立の「民間資金の活用による公共施設等の整備に関する法律(通称:PFI法)」により導入。

2. 「指定管理者制度」--- 地方自治体が公共施設の維持・管理を第3者に委託する場合の方式に関し、従来の「管理委託制度」に代えて新たに「指定管理者制度」を導入し、民間企業でも維持・管理業務の受託者となれるようにしたもの。2003年9月に成立の「改正地方自治法」により導入。

3.「市場化テスト」--- 公共サービスの提供において、官と民で競争入札を実施し、価格と品質の面でより優れた主体が落札して、そのサービスを提供するもの。2006年5月に成立の「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律(通称:市場化テスト法)」により導入。

「事業仕分け」も、上記のPPPに基づく行財政改革の流れを汲むものであるが、これまで自治体レベルで行なわれていた間は事業仕分けへの注目度が小さかったように見受けられる。

それが、民主党への政権交代によって「行政刷新会議」が発足(加藤秀樹氏がその事務局長に就任)し、同会議の作業グループ主導で国レベルでも事業仕分けが始まると、全面公開で行われていることもあって、大きな注目を集め始めている。

このように注目を集めていると言っても、事業仕分けは、「3点セット」のように法律化された制度ではなく、仕分けの結果には法的拘束力はない。自治体の場合、仕分け結果をもとに自治体はさらに内部で議論を重ねて最終的な判断を行なってきたし、現在仕分け人による判定結果が出始めている国の場合も、最終的な結論は来年度予算の査定結果、すなわち政治折衝に係っている。

事業仕分けには、このように法的拘束力がないことに加えて、ごく短時間の議論でその事業の必要性が本当に判断できるのか、行政改革をアピールするパフォーマンスに過ぎないのでは、などの批判があるのも事実である。

それでも、事業仕分けは、これまで行政で担って仕事を一度『ガラガラポン』して、行政の仕事の範囲(政府の大きさ)はどこまでかの根本的な問題を再考するきっかけを与えている点で大きな意義がある、と言えよう。

上記の3点セットは、例えば指定管理者制度の場合であるが、民間事業者の参入割合は2割程度に止まっているなど、当初に喧伝された割には目覚しい成果を挙げているようには見えない。

そうした中で、事業仕分けは、わが国の行財政改革の大きな起爆剤となる可能性がある。

IBTimes

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Comments
1.
Sep 8, 2010 4:11am

いいですね
2.
Dec 1, 2010 1:24am

事業仕分け、、、最近はさらに「パフォーマンス」性が高まってきている気がする。。 メディアも利用し、「公開裁判」さながらのイメージだ。 しかし「判決」の実行には法的拘束力がない。。 「裁かれた」ことが、確実に実行されることを願ってやまない。

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